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クラスターのアーキテクチャ
- 1: ノード
- 2: マスターとノード間の通信
- 3: コントローラー
- 4: クラウドコントローラーマネージャー
- 5: ガベージコレクション
- 6: コンテナランタイムインターフェイス(CRI)
1 - ノード
Kubernetesはコンテナを Node 上で実行されるPodに配置することで、ワークロードを実行します。 ノードはクラスターによりますが、1つのVMまたは物理的なマシンです。 各ノードはPodやそれを制御するコントロールプレーンを実行するのに必要なサービスを含んでいます。
通常、1つのクラスターで複数のノードを持ちます。学習用途やリソースの制限がある環境では、1ノードかもしれません。
1つのノード上のコンポーネントには、kubelet、コンテナランタイム、kube-proxyが含まれます。
管理
ノードをAPIサーバーに加えるには2つの方法があります:
- ノード上のkubeletが、コントロールプレーンに自己登録する。
- あなた、もしくは他のユーザーが手動でNodeオブジェクトを追加する。
Nodeオブジェクトの作成、もしくはノード上のkubeketによる自己登録の後、コントロールプレーンはNodeオブジェクトが有効かチェックします。例えば、下記のjsonマニフェストでノードを作成してみましょう:
{
"kind": "Node",
"apiVersion": "v1",
"metadata": {
"name": "10.240.79.157",
"labels": {
"name": "my-first-k8s-node"
}
}
}
Kubernetesは内部的にNodeオブジェクトを作成します。 APIサーバーに登録したkubeletがノードのmetadata.name
フィールドが一致しているか検証します。ノードが有効な場合、つまり必要なサービスがすべて実行されている場合は、Podを実行する資格があります。それ以外の場合、該当ノードが有効になるまではいかなるクラスターの活動に対しても無視されます。
Kubernetesは無効なNodeのオブジェクトを保持し、それが有効になるまで検証を続けます。
ヘルスチェックを止めるためには、あなた、もしくはコントローラーが明示的にNodeを削除する必要があります。
Nodeオブジェクトの名前は有効なDNSサブドメイン名である必要があります。
ノードの自己登録
kubeletのフラグ --register-node
がtrue(デフォルト)のとき、kubeletは自分自身をAPIサーバーに登録しようとします。これはほとんどのディストリビューションで使用されている推奨パターンです。
自己登録については、kubeletは以下のオプションを伴って起動されます:
--kubeconfig
- 自分自身をAPIサーバーに対して認証するための資格情報へのパス--cloud-provider
- 自身に関するメタデータを読むためにクラウドプロバイダーと会話する方法--register-node
- 自身をAPIサーバーに自動的に登録--register-with-taints
- 与えられたtaintのリストでノードを登録します (カンマ区切りの<key>=<value>:<effect>
)。
register-node
がfalseの場合、このオプションは機能しません
--node-ip
- ノードのIPアドレス--node-labels
- ノードをクラスターに登録するときに追加するLabel(NodeRestriction許可プラグインによって適用されるラベルの制限を参照)--node-status-update-frequency
- kubeletがノードのステータスをマスターにPOSTする頻度の指定
ノード認証モードおよびNodeRestriction許可プラグインが有効になっている場合、kubeletは自分自身のノードリソースを作成/変更することのみ許可されています。
手動によるノード管理
クラスター管理者はkubectlを使用してNodeオブジェクトを作成および変更できます。
管理者が手動でNodeオブジェクトを作成したい場合は、kubeletフラグ --register-node = false
を設定してください。
管理者は--register-node
の設定に関係なくNodeオブジェクトを変更することができます。
例えば、ノードにラベルを設定し、それをunschedulableとしてマークすることが含まれます。
ノード上のラベルは、スケジューリングを制御するためにPod上のノードセレクターと組み合わせて使用できます。 例えば、Podをノードのサブセットでのみ実行する資格があるように制限します。
ノードをunschedulableとしてマークすると、新しいPodがそのノードにスケジュールされるのを防ぎますが、ノード上の既存のPodには影響しません。 これは、ノードの再起動などの前の準備ステップとして役立ちます。
ノードにスケジュール不可能のマークを付けるには、次のコマンドを実行します:
kubectl cordon $ノード名
ノードのステータス
ノードのステータスは以下の情報を含みます:
kubectl
を使用し、ノードのステータスや詳細を確認できます:
kubectl describe node <ノード名をここに挿入>
出力情報の各箇所について、以下で説明します。
Addresses
これらのフィールドの使い方は、お使いのクラウドプロバイダーやベアメタルの設定内容によって異なります。
- HostName: ノードのカーネルによって伝えられたホスト名です。kubeletの
--hostname-override
パラメーターによって上書きすることができます。 - ExternalIP: 通常は、外部にルーティング可能(クラスターの外からアクセス可能)なノードのIPアドレスです。
- InternalIP: 通常は、クラスター内でのみルーティング可能なノードのIPアドレスです。
Conditions
conditions
フィールドは全てのRunning
なノードのステータスを表します。例として、以下のような状態を含みます:
ノードのCondition | 概要 |
---|---|
Ready |
ノードの状態が有効でPodを配置可能な場合にTrue になります。ノードの状態に問題があり、Podが配置できない場合にFalse になります。ノードコントローラーが、node-monitor-grace-period で設定された時間内(デフォルトでは40秒)に該当ノードと疎通できない場合、Unknown になります。 |
DiskPressure |
ノードのディスク容量が圧迫されているときにTrue になります。圧迫とは、ディスクの空き容量が少ないことを指します。それ以外のときはFalse です。 |
MemoryPressure |
ノードのメモリが圧迫されているときにTrue になります。圧迫とは、メモリの空き容量が少ないことを指します。それ以外のときはFalse です。 |
PIDPressure |
プロセスが圧迫されているときにTrue になります。圧迫とは、プロセス数が多すぎることを指します。それ以外のときはFalse です。 |
NetworkUnavailable |
ノードのネットワークが適切に設定されていない場合にTrue になります。それ以外のときはFalse です。 |
SchedulingDisabled
を含みます。
SchedulingDisabled
はKubernetesのAPIにおけるConditionではありません;その代わり、cordonされたノードはUnschedulableとしてマークされます。
Nodeの状態は、Nodeリソースの.status
の一部として表現されます。例えば、正常なノードの場合は以下のようなjson構造が表示されます。
"conditions": [
{
"type": "Ready",
"status": "True",
"reason": "KubeletReady",
"message": "kubelet is posting ready status",
"lastHeartbeatTime": "2019-06-05T18:38:35Z",
"lastTransitionTime": "2019-06-05T11:41:27Z"
}
]
Ready conditionがpod-eviction-timeout
(kube-controller-managerに渡された引数)に設定された時間を超えてもUnknown
やFalse
のままになっている場合、該当ノード上にあるPodはノードコントローラーによって削除がスケジュールされます。デフォルトの退役のタイムアウトの時間は5分です。ノードが到達不能ないくつかの場合においては、APIサーバーが該当ノードのkubeletと疎通できない状態になっています。その場合、APIサーバーがkubeletと再び通信を確立するまでの間、Podの削除を行うことはできません。削除がスケジュールされるまでの間、削除対象のPodは切り離されたノードの上で稼働を続けることになります。
ノードコントローラーはクラスター内でPodが停止するのを確認するまでは強制的に削除しないようになりました。到達不能なノード上で動いているPodはTerminating
またはUnknown
のステータスになります。Kubernetesが基盤となるインフラストラクチャーを推定できない場合、クラスター管理者は手動でNodeオブジェクトを削除する必要があります。KubernetesからNodeオブジェクトを削除すると、そのノードで実行されているすべてのPodオブジェクトがAPIサーバーから削除され、それらの名前が解放されます。
ノードのライフサイクルコントローラーがconditionを表したtaintを自動的に生成します。 スケジューラーがPodをノードに割り当てる際、ノードのtaintを考慮します。Podが許容するtaintは例外です。
詳細は条件によるtaintの付与を参照してください。
CapacityとAllocatable
ノードで利用可能なリソース(CPU、メモリ、およびノードでスケジュールできる最大Pod数)について説明します。
capacityブロック内のフィールドは、ノードが持っているリソースの合計量を示します。 allocatableブロックは、通常のPodによって消費されるノード上のリソースの量を示します。
CapacityとAllocatableについて深く知りたい場合は、ノード上でどのようにコンピュートリソースが予約されるかを読みながら学ぶことができます。
Info
カーネルのバージョン、Kubernetesのバージョン(kubeletおよびkube-proxyのバージョン)、(使用されている場合)Dockerのバージョン、OS名など、ノードに関する一般的な情報です。 この情報はノードからkubeletを通じて取得され、Kubernetes APIに公開されます。
ハートビート
ハートビートは、Kubernetesノードから送信され、ノードが利用可能か判断するのに役立ちます。 以下の2つのハートビートがあります:
- Nodeの
.status
の更新 - Lease objectです。
各ノードは
kube-node-lease
というnamespaceに関連したLeaseオブジェクトを持ちます。 Leaseは軽量なリソースで、クラスターのスケールに応じてノードのハートビートにおけるパフォーマンスを改善します。
kubeletがNodeStatus
とLeaseオブジェクトの作成および更新を担当します。
- kubeletは、ステータスに変化があったり、設定した間隔の間に更新がない時に
NodeStatus
を更新します。NodeStatus
更新のデフォルト間隔は5分です。(到達不能の場合のデフォルトタイムアウトである40秒よりもはるかに長いです) - kubeletは10秒間隔(デフォルトの更新間隔)でLeaseオブジェクトの生成と更新を実施します。Leaseの更新は
NodeStatus
の更新とは独立されて行われます。Leaseの更新が失敗した場合、kubeletは200ミリ秒から始まり7秒を上限とした指数バックオフでリトライします。
ノードコントローラー
ノードコントローラーは、ノードのさまざまな側面を管理するKubernetesのコントロールプレーンコンポーネントです。
ノードコントローラーは、ノードの存続期間中に複数の役割を果たします。1つ目は、ノードが登録されたときにCIDRブロックをノードに割り当てることです(CIDR割り当てがオンになっている場合)。
2つ目は、ノードコントローラーの内部ノードリストをクラウドの利用可能なマシンのリストと一致させることです。 クラウド環境で実行している場合、ノードに異常があると、ノードコントローラーはクラウドプロバイダーにそのNodeのVMがまだ使用可能かどうかを問い合わせます。 使用可能でない場合、ノードコントローラーはノードのリストから該当ノードを削除します。
3つ目は、ノードの状態を監視することです。
ノードが到達不能(例えば、ノードがダウンしているなどので理由で、ノードコントローラーがハートビートの受信を停止した場合)になると、ノードコントローラーは、NodeStatusのNodeReady conditionをConditionUnknownに変更する役割があります。その後も該当ノードが到達不能のままであった場合、Graceful Terminationを使って全てのPodを退役させます。デフォルトのタイムアウトは、ConditionUnknownの報告を開始するまで40秒、その後Podの追い出しを開始するまで5分に設定されています。
ノードコントローラーは、--node-monitor-period
に設定された秒数ごとに各ノードの状態をチェックします。
信頼性
ほとんどの場合、排除の速度は1秒あたり--node-eviction-rate
に設定された数値(デフォルトは秒間0.1)です。つまり、10秒間に1つ以上のPodをノードから追い出すことはありません。
特定のアベイラビリティーゾーン内のノードのステータスが異常になると、ノード排除の挙動が変わります。ノードコントローラーは、ゾーン内のノードの何%が異常(NodeReady条件がConditionUnknownまたはConditionFalseである)であるかを同時に確認します。
異常なノードの割合が少なくとも --healthy-zone-threshold
に設定した値を下回る場合(デフォルトは0.55)であれば、退役率は低下します。クラスターが小さい場合(すなわち、 --large-cluster-size-threshold
の設定値よりもノード数が少ない場合。デフォルトは50)、退役は停止し、そうでない場合、退役率は秒間で--secondary-node-eviction-rate
の設定値(デフォルトは0.01)に減少します。
これらのポリシーがアベイラビリティーゾーンごとに実装されているのは、1つのアベイラビリティーゾーンがマスターから分割される一方、他のアベイラビリティーゾーンは接続されたままになる可能性があるためです。
クラスターが複数のクラウドプロバイダーのアベイラビリティーゾーンにまたがっていない場合、アベイラビリティーゾーンは1つだけです(クラスター全体)。
ノードを複数のアベイラビリティゾーンに分散させる主な理由は、1つのゾーン全体が停止したときにワークロードを正常なゾーンに移動できることです。
したがって、ゾーン内のすべてのノードが異常である場合、ノードコントローラーは通常のレート --node-eviction-rate
で退役します。
コーナーケースは、すべてのゾーンが完全にUnhealthyである(すなわち、クラスタ内にHealthyなノードがない)場合です。
このような場合、ノードコントローラーはマスター接続に問題があると見なし、接続が回復するまですべての退役を停止します。
ノードコントローラーは、Podがtaintを許容しない場合、 NoExecute
のtaintを持つノード上で実行されているPodを排除する責務もあります。
さらに、ノードコントローラーはノードに到達できない、または準備ができていないなどのノードの問題に対応するtaintを追加する責務があります。これはスケジューラーが、問題のあるノードにPodを配置しない事を意味しています。
kubectl cordon
はノードに'unschedulable'としてマークします。それはロードバランサーのターゲットリストからノードを削除するという
サービスコントローラーの副次的な効果をもたらします。これにより、ロードバランサトラフィックの流入をcordonされたノードから効率的に除去する事ができます。
ノードのキャパシティ
Nodeオブジェクトはノードのリソースキャパシティ(CPUの数とメモリの量)を監視します。 自己登録したノードは、Nodeオブジェクトを作成するときにキャパシティを報告します。 手動によるノード管理を実行している場合は、ノードを追加するときにキャパシティを設定する必要があります。
Kubernetesスケジューラーは、ノード上のすべてのPodに十分なリソースがあることを確認します。スケジューラーは、ノード上のコンテナが要求するリソースの合計がノードキャパシティ以下であることを確認します。 これは、kubeletによって管理されたすべてのコンテナを含みますが、コンテナランタイムによって直接開始されたコンテナやkubeletの制御外で実行されているプロセスは含みません。
ノードのトポロジー
Kubernetes v1.16 [alpha]
TopologyManager
のフィーチャーゲートを有効にすると、
kubeletはリソースの割当を決定する際にトポロジーのヒントを利用できます。
詳細は、ノードのトポロジー管理ポリシーを制御するを参照してください。
ノードの正常終了
Kubernetes v1.21 [beta]
kubeletは、ノードのシステムシャットダウンを検出すると、ノード上で動作しているPodを終了させます。
Kubelet は、ノードのシャットダウン時に、ポッドが通常の通常のポッド終了プロセスに従うようにします。
Graceful Node Shutdownはsystemdに依存しているため、systemd inhibitor locksを 利用してノードのシャットダウンを一定時間遅らせることができます。
Graceful Node Shutdownは、v1.21でデフォルトで有効になっているGracefulNodeShutdown
フィーチャーゲートで制御されます。
なお、デフォルトでは、後述の設定オプションShutdownGracePeriod
およびShutdownGracePeriodCriticalPods
の両方がゼロに設定されているため、Graceful node shutdownは有効になりません。この機能を有効にするには、この2つのkubeletの設定を適切に設定し、ゼロ以外の値を設定する必要があります。
Graceful shutdownでは、kubeletは以下の2段階でPodを終了させます。
- そのノード上で動作している通常のPodを終了させます。
- そのノード上で動作しているcritical podsを終了させます。
Graceful Node Shutdownには、2つのKubeletConfiguration
オプションを設定します。:
ShutdownGracePeriod
:- ノードがシャットダウンを遅らせるべき合計期間を指定します。これは、通常のPodとcritical podsの両方のPod終了の合計猶予期間です。
ShutdownGracePeriodCriticalPods
:- ノードのシャットダウン時にcritical podsを終了させるために使用する期間を指定します。この値は、ShutdownGracePeriodよりも小さくする必要があります。
例えば、ShutdownGracePeriod=30s
、ShutdownGracePeriodCriticalPods=10s
とすると、
kubeletはノードのシャットダウンを30秒遅らせます。シャットダウンの間、最初の20(30-10)秒は通常のポッドを優雅に終了させるために確保され、
残りの10秒は重要なポッドを終了させるために確保されることになります。
Graceful Node Shutdown中にPodが退避された場合、それらのPodの.status
はFailed
になります。
kubectl get pods
を実行すると、退避させられたPodのステータスが Shutdown
と表示されます。
また、kubectl describe pod
を実行すると、ノードのシャットダウンのためにPodが退避されたことがわかります。
Status: Failed
Reason: Shutdown
Message: Node is shutting, evicting pods
失敗したポッドオブジェクトは、明示的に削除されるか、GCによってクリーンアップされるまで保存されます。 これは、ノードが突然終了した場合とは異なった振る舞いです。
スワップメモリの管理
Kubernetes v1.22 [alpha]
Kubernetes 1.22以前では、ノードはスワップメモリの使用をサポートしておらず、ノード上でスワップが検出された場合、 kubeletはデフォルトで起動に失敗していました。1.22以降では、スワップメモリのサポートをノードごとに有効にすることができます。
ノードでスワップを有効にするには、kubeletの NodeSwap
フィーチャーゲートを有効にし、
--fail-swap-on
コマンドラインフラグまたはfailSwapOn
KubeletConfigurationを false に設定する必要があります。
ユーザーはオプションで、ノードがスワップメモリをどのように使用するかを指定するために、memorySwap.swapBehavior
を設定することもできます。ノードがスワップメモリをどのように使用するかを指定します。例えば、以下のようになります。
memorySwap:
swapBehavior: LimitedSwap
swapBehaviorで使用できる設定オプションは以下の通りです。:
LimitedSwap
: Kubernetesのワークロードが、使用できるスワップ量に制限を設けます。Kubernetesが管理していないノード上のワークロードは、依然としてスワップを使用できます。UnlimitedSwap
: Kubernetesのワークロードが使用できるスワップ量に制限を設けません。システムの限界まで、要求されただけのスワップメモリを使用することができます。
memorySwap
の設定が指定されておらず、フィーチャーゲートが有効な場合、デフォルトのkubeletはLimitedSwap
の設定と同じ動作を適用します。
LimitedSwap
設定の動作は、ノードがコントロールグループ(「cgroups」とも呼ばれる)のv1とv2のどちらで動作しているかによって異なります。
Kubernetesのワークロードでは、メモリとスワップを組み合わせて使用することができ、ポッドのメモリ制限が設定されている場合はその制限まで使用できます。
- cgroupsv1: Kubernetesのワークロードは、メモリとスワップを組み合わせて使用することができ、ポッドのメモリ制限が設定されている場合はその制限まで使用できます。
- cgroupsv2: Kubernetesのワークロードは、スワップメモリを使用できません。
詳しくは、KEP-2400と design proposalをご覧いただき、テストにご協力、ご意見をお聞かせください。
次の項目
- ノードコンポーネントについて学習する。
- Node APIオブジェクトについて読む。
- アーキテクチャ設計文書のNodeという章を読む。
- TaintとTolerationについて読む。
2 - マスターとノード間の通信
本ドキュメントでは、KubernetesにおけるMaster(実態はAPIサーバー)およびクラスター間のコミュニケーション経路についてまとめます。 この文書の目的は、信頼できないネットワーク上(またはクラウドプロバイダ上の完全にパブリックなIP上)でクラスタを実行できるように、ユーザーがインストールをカスタマイズしてネットワーク構成を強化できるようにすることです。
クラスターからマスターへの通信
クラスターからマスターへのすべての通信経路は、APIサーバーで終端します(他のマスターコンポーネントはどれもリモートサービスを公開するように設計されていません)。 一般的には、1つ以上の形式のクライアント認証が有効になっている状態で、APIサーバーはセキュアなHTTPSポート(443)でリモート接続をlistenするように構成されています。 特に匿名のリクエストまたはサービスアカウントトークンが許可されている場合は、1つまたは複数の認証を有効にする必要があります。
ノードには、有効なクライアント認証情報を使って安全にAPIサーバーに接続できるように、クラスターのパブリックなルート証明書をプロビジョニングする必要があります。 たとえば、GKEのデフォルト設定では、kubeletに提供されるクライアント認証情報はクライアント証明書の形式です。 kubeletのクライアント証明書を自動プロビジョニングする方法については、kubelet TLSブートストラッピングを参照してください。
APIサーバーに接続したいPodは、サービスアカウントを利用することで接続を安全にすることができます。そうすることで、Podが作成されたときにKubernetesがパブリックなルート証明書と有効なBearer TokenをPodに自動的に挿入します。
kubernetes
サービスには(すべてのネームスペースで)、APIサーバー上のHTTPSエンドポイントに(kube-proxy経由で)リダイレクトされる仮想IPアドレスが設定されています。
マスターコンポーネントは、セキュアなポートを介してクラスターAPIサーバーとも通信します。
その結果、クラスター(ノードとそのノードで実行されているPod)からマスターへの接続はデフォルトで保護され、信頼できないネットワークやパブリックネットワークを介して実行できます。
マスターからクラスターへの通信
マスター(APIサーバー)からクラスターへの通信には、2つの主要な通信経路があります。 1つ目は、APIサーバーからクラスター内の各ノードで実行されるkubeletプロセスへの通信です。 2つ目は、APIサーバーのプロキシ機能を介した、APIサーバーから任意のノード、Pod、またはサービスへのアクセスです。
APIサーバーからkubeletへの通信
APIサーバーからkubeletへの接続は以下の目的で使用されます:
- Podのログを取得する
- 実行中のPodに(kubectlを通して)接続する
- kubeletのポート転送機能を提供する
これらの接続は、kubeletのHTTPSエンドポイントで終了します。 デフォルトでは、APIサーバーはkubeletが提供する証明書を検証しないため、接続は中間者攻撃を受けやすく、安全でない信頼できないネットワークやパブリックなネットワークを介して実行されることになります。
この接続を検証するには、--kubelet-certificate-authority
フラグを使用して、kubeletが提供する証明書を確認するために使用するルート証明書バンドルをAPIサーバーに提供します。
それができない場合は、信頼できないネットワークやパブリックなネットワークを介した接続を回避するために、必要に応じてAPIサーバーとkubeletの間でSSHトンネリングを使用してください。
最後に、kubeletのAPIを保護するためにkubeletの認証認可を有効にする必要があります。
APIサーバーからノード、Pod、サービスへの通信
APIサーバーからノード、Pod、またはサービスへの接続はデフォルトで平文のHTTP接続になるため、認証も暗号化もされません。
API URL内のノード、Pod、またはサービス名にhttps:
を付けることで安全なHTTPS接続で実行できますが、HTTPSエンドポイントから提供される証明書を検証したりクライアントの資格情報を提供したりすることはありませんし、暗号化されているという完全性を保証するものでもありません。
これらの接続を信頼できないネットワークや公衆ネットワークを介して実行するのは、現時点において安全ではありません。
SSHトンネル
Kubernetesはマスターからクラスターへの通信経路を保護するためにSSHトンネルをサポートしています。 この設定では、APIサーバーはクラスター内の各ノード(ポート22でlistenしているsshサーバーに接続)へのSSHトンネルを開始し、トンネルを介してkubelet、ノード、Pod、またはサービス宛てのすべてのトラフィックを渡します。 このトンネルにより、ノードが実行されているネットワークの外部にトラフィックが公開されないようにします。
SSHトンネルは現在非推奨なので、自分がしていることが分からない限り、使用しないでください。この通信チャネルに代わるものが設計されています。
3 - コントローラー
ロボット工学やオートメーションの分野において、 制御ループ とは、あるシステムの状態を制御する終了状態のないループのことです。
ここでは、制御ループの一例として、部屋の中にあるサーモスタットを挙げます。
あなたが温度を設定すると、それはサーモスタットに 目的の状態(desired state) を伝えることになります。実際の部屋の温度は 現在の状態 です。サーモスタットは、装置をオンまたはオフにすることによって、現在の状態を目的の状態に近づけるように動作します。
Kubernetesにおいて、コントローラーはクラスターの状態を監視し、必要に応じて変更を加えたり要求したりする制御ループです。それぞれのコントローラーは現在のクラスターの状態を望ましい状態に近づけるように動作します。コントローラーパターン
コントローラーは少なくとも1種類のKubernetesのリソースを監視します。これらのオブジェクトには目的の状態を表すspecフィールドがあります。リソースのコントローラーは、現在の状態を目的の状態に近づける責務を持ちます。
コントローラーは自分自身でアクションを実行する場合もありますが、KubernetesではコントローラーがAPIサーバーに意味のある副作用を持つメッセージを送信することが一般的です。以下では、このような例を見ていきます。
APIサーバー経由でコントロールする
JobコントローラーはKubernetesのビルトインのコントローラーの一例です。ビルトインのコントローラーは、クラスターのAPIサーバーとやりとりをして状態を管理します。
Jobは、1つ以上のPodを起動して、タスクを実行した後に停止する、Kubernetesのリソースです。
(1度スケジュールされると、Podオブジェクトはkubeletに対する目的の状態の一部になります。)
Jobコントローラーが新しいタスクを見つけると、その処理が完了するように、クラスター上のどこかで、一連のNode上のkubeletが正しい数のPodを実行することを保証します。ただし、Jobコントローラーは、自分自身でPodやコンテナを実行することはありません。代わりに、APIサーバーに対してPodの作成や削除を依頼します。コントロールプレーン上の他のコンポーネントが(スケジュールして実行するべき新しいPodが存在するという)新しい情報を基に動作することによって、最終的に目的の処理が完了します。
新しいJobが作成されたとき、目的の状態は、そのJobが完了することです。JobコントローラーはそのJobに対する現在の状態を目的の状態に近づけるようにします。つまり、そのJobが行ってほしい処理を実行するPodを作成し、Jobが完了に近づくようにします。
コントローラーは、コントローラーを設定するオブジェクトも更新します。たとえば、あるJobが完了した場合、Jobコントローラーは、JobオブジェクトにFinished
というマークを付けます。
(これは、部屋が設定温度になったことを示すために、サーモスタットがランプを消灯するのに少し似ています。)
直接的なコントロール
Jobとは対照的に、クラスターの外部に変更を加える必要があるコントローラーもあります。
たとえば、クラスターに十分な数のNodeが存在することを保証する制御ループの場合、そのコントローラーは、必要に応じて新しいNodeをセットアップするために、現在のクラスターの外部とやりとりをする必要があります。
外部の状態とやりとりをするコントローラーは、目的の状態をAPIサーバーから取得した後、外部のシステムと直接通信し、現在の状態を目的の状態に近づけます。
(クラスター内のノードを水平にスケールさせるコントローラーが実際に存在します。)
ここで重要な点は、コントローラーが目的の状態を実現するために変更を加えてから、現在の状態をクラスターのAPIサーバーに報告することです。他の制御ループは、その報告されたデータを監視し、独自のアクションを実行できます。
サーモスタットの例では、部屋が非常に寒い場合、別のコントローラーが霜防止ヒーターをオンにすることもあります。Kubernetesクラスターを使用すると、コントロールプレーンは、Kubernetesを拡張して実装することにより、IPアドレス管理ツールやストレージサービス、クラウドプロバイダーAPI、およびその他のサービスと間接的に連携します。
目的の状態 vs 現在の状態
Kubernetesはシステムに対してクラウドネイティブな見方をするため、常に変化し続けるような状態を扱えるように設計されています。
処理を実行したり、制御ループが故障を自動的に修正したりしているどの時点でも、クラスターは変化中である可能性があります。つまり、クラスターは決して安定した状態にならない可能性があるということです。
コントローラーがクラスターのために実行されていて、有用な変更が行われるのであれば、全体的な状態が安定しているかどうかは問題にはなりません。
設計
設計理念として、Kubernetesは多数のコントローラーを使用しており、各コントローラーはクラスターの状態の特定の側面をそれぞれ管理しています。最もよくあるパターンは、特定の制御ループ(コントローラー)が目的の状態として1種類のリソースを使用し、目的の状態を実現することを管理するために別の種類のリソースを用意するというものです。たとえば、Jobのコントローラーは、Jobオブジェクト(新しい処理を見つけるため)およびPodオブジェクト(Jobを実行し、処理が完了したか確認するため)を監視します。この場合、なにか別のものがJobを作成し、JobコントローラーはPodを作成します。
相互にリンクされた単一のモノリシックな制御ループよりは、複数の単純なコントローラーが存在する方が役に立ちます。コントローラーは故障することがあるため、Kubernetesは故障を許容するように設計されています。
同じ種類のオブジェクトを作成または更新するコントローラーが、複数存在する場合があります。実際には、Kubernetesコントローラーは、自分が制御するリソースに関連するリソースにのみ注意を払うように作られています。
たとえば、DeploymentとJobがありますが、これらは両方ともPodを作成するものです。しかし、JobコントローラーはDeploymentが作成したPodを削除することはありません。各コントローラーが2つのPodを区別できる情報(ラベル)が存在するためです。
コントローラーを実行する方法
Kubernetesには、kube-controller-manager内部で動作する一組のビルトインのコントローラーが用意されています。これらビルトインのコントローラーは、コアとなる重要な振る舞いを提供します。
DeploymentコントローラーとJobコントローラーは、Kubernetes自体の一部として同梱されているコントローラーの例です(それゆえ「ビルトイン」のコントローラーと呼ばれます)。Kubernetesは回復性のあるコントロールプレーンを実行できるようにしているため、ビルトインのコントローラーの一部が故障しても、コントロールプレーンの別の部分が作業を引き継いでくれます。
Kubernetesを拡張するためにコントロールプレーンの外で動作するコントローラーもあります。もし望むなら、新しいコントローラーを自分で書くこともできます。自作のコントローラーをPodセットとして動作させたり、Kubernetesの外部で動作させることもできます。どのような動作方法が最も適しているかは、そのコントローラーがどのようなことを行うのかに依存します。
次の項目
- Kubernetesコントロールプレーンについて読む
- 基本的なKubernetesオブジェクトについて学ぶ
- Kubernetes APIについて学ぶ
- 自分でコントローラーを書きたい場合は、「Kubernetesを拡張する」のエクステンションパターンを読んでください。
4 - クラウドコントローラーマネージャー
Kubernetes v1.11 [beta]
クラウドインフラストラクチャー技術により、パブリック、プライベート、ハイブリッドクラウド上でKubernetesを動かすことができます。Kubernetesは、コンポーネント間の密なつながりが不要な自動化されたAPI駆動インフラストラクチャーを信条としています。
cloud-controller-managerは クラウド特有の制御ロジックを組み込むKubernetesのcontrol planeコンポーネントです。クラウドコントロールマネージャーは、クラスターをクラウドプロバイダーAPIをリンクし、クラスタのみで相互作用するコンポーネントからクラウドプラットフォームで相互作用するコンポーネントを分離します。
Kubernetesと下のクラウドインフラストラクチャー間の相互運用ロジックを分離することで、cloud-controller-managerコンポーネントはクラウドプロバイダを主なKubernetesプロジェクトと比較し異なるペースで機能をリリース可能にします。
cloud-controller-managerは、プラグイン機構を用い、異なるクラウドプロバイダーに対してそれぞれのプラットフォームとKubernetesの結合を可能にする構成になっています。
設計
クラウドコントローラーマネージャーは、複製されたプロセスの集合としてコントロールプレーンで実行されます。(通常、Pod内のコンテナとなります)各cloud-controller-managerは、シングルプロセスで複数のcontrollersを実装します。
クラウドコントローラーマネージャーの機能
クラウドコントローラーマネージャーのコントローラーは以下を含んでいます。
ノードコントローラー
ノードコントローラーは、クラウドインフラストラクチャーで新しいサーバーが作成された際に、Nodeオブジェクトを作成する責務を持ちます。ノードコントローラーは、クラウドプロバイダーのテナント内で動作しているホストの情報を取得します。ノードコントローラーは下記に示す機能を実行します:
- Nodeオブジェクトを、コントローラーがクラウドプロバイダーAPIを通じて見つけた各サーバーで初期化する
- Nodeオブジェクトに、ノードがデプロイされているリージョンや利用可能なリソース(CPU、メモリなど)のようなクラウド特有な情報を注釈付けやラベル付けをする
- ノードのホスト名とネットワークアドレスを取得する
- ノードの正常性を検証する。ノードが応答しなくなった場合、クラウドプロバイダーのAPIを利用しサーバーがdeactivated / deleted / terminatedであるかを確認する。クラウドからノードが削除されていた場合、KubernetesクラスターからNodeオブジェクトを削除する
いくつかのクラウドプロバイダーは、これをノードコントローラーと個別のノードライフサイクルコントローラーに分けて実装しています。
ルートコントローラー
ルートコントローラーは、クラスタ内の異なるノード上で稼働しているコンテナが相互に通信できるように、クラウド内のルートを適切に設定する責務を持ちます。
クラウドプロバイダーによっては、ルートコントローラーはPodネットワークのIPアドレスのブロックを割り当てることもあります。
サービスコントローラー
Servicesは、マネージドロードバランサー、IPアドレスネットワークパケットフィルタや対象のヘルスチェックのようなクラウドインフラストラクチャーコンポーネントのインテグレーションを行います。サービスコントローラーは、ロードバランサーや他のインフラストラクチャーコンポーネントを必要とするServiceリソースを宣言する際にそれらのコンポーネントを設定するため、クラウドプロバイダーのAPIと対話します。
認可
このセクションでは、クラウドコントローラーマネージャーが操作を行うために様々なAPIオブジェクトに必要な権限を分類します。
ノードコントローラー
ノードコントローラーはNodeオブジェクトのみに対して働きます。Nodeオブジェクトに対して、readとmodifyの全権限が必要です。
v1/Node
:
- Get
- List
- Create
- Update
- Patch
- Watch
- Delete
ルートコントローラー
ルートコントローラーは、Nodeオブジェクトの作成を待ち受け、ルートを適切に設定します。Nodeオブジェクトについて、get権限が必要です。
v1/Node
:
- Get
サービスコントローラー
サービスコントローラーは、Serviceオブジェクトの作成、更新、削除イベントを待ち受け、その後、サービスのEndpointを適切に設定します。
サービスにアクセスするため、list、watchの権限が必要です。サービスを更新するため、patch、updateの権限が必要です。
サービスのEndpointリソースを設定するため、create、list、get、watchそしてupdateの権限が必要です。
v1/Service
:
- List
- Get
- Watch
- Patch
- Update
その他
クラウドコントローラーマネージャーのコア機能の実装は、Eventオブジェクトのcreate権限と、セキュアな処理を保証するため、ServiceAccountのcreate権限が必要です。
v1/Event
:
- Create
- Patch
- Update
v1/ServiceAccount
:
- Create
クラウドコントローラーマネージャーのRBAC ClusterRoleはこのようになります:
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
kind: ClusterRole
metadata:
name: cloud-controller-manager
rules:
- apiGroups:
- ""
resources:
- events
verbs:
- create
- patch
- update
- apiGroups:
- ""
resources:
- nodes
verbs:
- '*'
- apiGroups:
- ""
resources:
- nodes/status
verbs:
- patch
- apiGroups:
- ""
resources:
- services
verbs:
- list
- patch
- update
- watch
- apiGroups:
- ""
resources:
- serviceaccounts
verbs:
- create
- apiGroups:
- ""
resources:
- persistentvolumes
verbs:
- get
- list
- update
- watch
- apiGroups:
- ""
resources:
- endpoints
verbs:
- create
- get
- list
- watch
- update
次の項目
Cloud Controller Manager Administration はクラウドコントラーマネージャーの実行と管理を説明しています。
どのようにあなた自身のクラウドコントローラーマネージャーが実装されるのか、もしくは既存プロジェクトの拡張について知りたいですか?
クラウドコントローラーマネージャーは、いかなるクラウドからもプラグインとしての実装を許可するためにGoインターフェースを使います。具体的には、kubernetes/cloud-providerの cloud.go
で定義されているCloudProvider
を使います。
本ドキュメントでハイライトした共有コントローラー(Node、Route、Service)の実装と共有クラウドプロバイダーインターフェースに沿ったいくつかの足場は、Kubernetesコアの一部です。クラウドプロバイダに特化した実装は、Kubernetesのコアの外部として、またCloudProvider
インターフェースを実装します。
プラグイン開発ついての詳細な情報は、Developing Cloud Controller Managerを見てください。
5 - ガベージコレクション
ガベージコレクションは、Kubernetesがクラスターリソースをクリーンアップするために使用するさまざまなメカニズムの総称です。これにより、次のようなリソースのクリーンアップが可能になります:
- 失敗したPod
- 完了したJob
- owner referenceのないオブジェクト
- 未使用のコンテナとコンテナイメージ
- StorageClassの再利用ポリシーがDeleteである動的にプロビジョニングされたPersistentVolume
- 失効または期限切れのCertificateSigningRequests (CSRs)
- 次のシナリオで削除されたNode:
- クラウド上でクラスターがクラウドコントローラーマネージャーを使用する場合
- オンプレミスでクラスターがクラウドコントローラーマネージャーと同様のアドオンを使用する場合
- Node Leaseオブジェクト
オーナーの依存関係
Kubernetesの多くのオブジェクトは、owner referenceを介して相互にリンクしています。 owner referenceは、どのオブジェクトが他のオブジェクトに依存しているかをコントロールプレーンに通知します。 Kubernetesは、owner referenceを使用して、コントロールプレーンやその他のAPIクライアントに、オブジェクトを削除する前に関連するリソースをクリーンアップする機会を提供します。 ほとんどの場合、Kubernetesはowner referenceを自動的に管理します。
Ownershipは、一部のリソースでも使用されるラベルおよびセレクターメカニズムとは異なります。
たとえば、EndpointSlice
オブジェクトを作成するServiceを考えます。
Serviceはラベルを使用して、コントロールプレーンがServiceに使用されているEndpointSlice
オブジェクトを判別できるようにします。
ラベルに加えて、Serviceに代わって管理される各EndpointSlice
には、owner referenceがあります。
owner referenceは、Kubernetesのさまざまな部分が制御していないオブジェクトへの干渉を回避するのに役立ちます。
namespace間のowner referenceは、設計上許可されていません。 namespaceの依存関係は、クラスタースコープまたはnamespaceのオーナーを指定できます。 namespaceのオーナーは、依存関係と同じnamespaceに存在する必要があります。 そうでない場合、owner referenceは不在として扱われ、すべてのオーナーが不在であることが確認されると、依存関係は削除される可能性があります。
クラスタースコープの依存関係は、クラスタースコープのオーナーのみを指定できます。 v1.20以降では、クラスタースコープの依存関係がnamespaceを持つkindをオーナーとして指定している場合、それは解決できないowner referenceを持つものとして扱われ、ガベージコレクションを行うことはできません。
V1.20以降では、ガベージコレクタは無効な名前空間間のownerReference
、またはnamespaceのkindを参照するownerReference
をもつクラスター・スコープの依存関係を検出した場合、無効な依存関係のOwnerRefInvalidNamespace
とinvolvedObject
を理由とする警告イベントが報告されます。
以下のコマンドを実行すると、そのようなイベントを確認できます。
kubectl get events -A --field-selector=reason=OwnerRefInvalidNamespace
カスケード削除
Kubernetesは、ReplicaSetを削除したときに残されたPodなど、owner referenceがなくなったオブジェクトをチェックして削除します。 オブジェクトを削除する場合、カスケード削除と呼ばれるプロセスで、Kubernetesがオブジェクトの依存関係を自動的に削除するかどうかを制御できます。 カスケード削除には、次の2つのタイプがあります。
- フォアグラウンドカスケード削除
- バックグラウンドカスケード削除
また、Kubernetes finalizerを使用して、ガベージコレクションがowner referenceを持つリソースを削除する方法とタイミングを制御することもできます。
フォアグラウンドカスケード削除
フォアグラウンドカスケード削除では、削除するオーナーオブジェクトは最初に削除進行中の状態になります。 この状態では、オーナーオブジェクトに次のことが起こります。
- Kubernetes APIサーバーは、オブジェクトの
metadata.deletionTimestamp
フィールドを、オブジェクトに削除のマークが付けられた時刻に設定します。 - Kubernetes APIサーバーは、
metadata.finalizers
フィールドをforegroundDeletion
に設定します。 - オブジェクトは、削除プロセスが完了するまで、KubernetesAPIを介して表示されたままになります。
オーナーオブジェクトが削除進行中の状態に入ると、コントローラーは依存関係を削除します。 すべての依存関係オブジェクトを削除した後、コントローラーはオーナーオブジェクトを削除します。 この時点で、オブジェクトはKubernetesAPIに表示されなくなります。
フォアグラウンドカスケード削除中に、オーナーの削除をブロックする依存関係は、ownerReference.blockOwnerDeletion=true
フィールドを持つ依存関係のみです。
詳細については、フォアグラウンドカスケード削除の使用を参照してください。
バックグラウンドカスケード削除
バックグラウンドカスケード削除では、Kubernetes APIサーバーがオーナーオブジェクトをすぐに削除し、コントローラーがバックグラウンドで依存オブジェクトをクリーンアップします。 デフォルトでは、フォアグラウンド削除を手動で使用するか、依存オブジェクトを孤立させることを選択しない限り、Kubernetesはバックグラウンドカスケード削除を使用します。
詳細については、バックグラウンドカスケード削除の使用を参照してください。
孤立した依存関係
Kubernetesがオーナーオブジェクトを削除すると、残された依存関係はorphanオブジェクトと呼ばれます。 デフォルトでは、Kubernetesは依存関係オブジェクトを削除します。この動作をオーバーライドする方法については、オーナーオブジェクトと孤立した依存関係の削除を参照してください。
未使用のコンテナとイメージのガベージコレクション
kubeletは未使用のイメージに対して5分ごとに、未使用のコンテナーに対して1分ごとにガベージコレクションを実行します。 外部のガベージコレクションツールは、kubeletの動作を壊し、存在するはずのコンテナを削除する可能性があるため、使用しないでください。
未使用のコンテナーとイメージのガベージコレクションのオプションを設定するには、設定ファイルを使用してkubeletを調整し、KubeletConfiguration
リソースタイプを使用してガベージコレクションに関連するパラメーターを変更します。
コンテナイメージのライフサイクル
Kubernetesは、kubeletの一部であるイメージマネージャーを通じて、cadvisorの協力を得て、すべてのイメージのライフサイクルを管理します。kubeletは、ガベージコレクションを決定する際に、次のディスク使用制限を考慮します。
HighThresholdPercent
LowThresholdPercent
設定されたHighThresholdPercent
値を超えるディスク使用量はガベージコレクションをトリガーします。
ガベージコレクションは、最後に使用された時間に基づいて、最も古いものから順にイメージを削除します。
kubeletは、ディスク使用量がLowThresholdPercent
値に達するまでイメージを削除します。
コンテナイメージのガベージコレクション
kubeletは、次の変数に基づいて未使用のコンテナをガベージコレクションします。
MinAge
: kubeletがガベージコレクションできるコンテナの最低期間。0
を設定すると無効化されます。MaxPerPodContainer
: 各Podのペアが持つことができるデッドコンテナの最大数。0
未満に設定すると無効化されます。MaxContainers
: クラスターが持つことができるデッドコンテナーの最大数。0
未満に設定すると無効化されます。
これらの変数に加えて、kubeletは、通常、最も古いものから順に、定義されていない削除されたコンテナをガベージコレクションします。
MaxPerPodContainer
とMaxContainer
は、Podごとのコンテナーの最大数(MaxPerPodContainer
)を保持すると、グローバルなデッドコンテナの許容合計(MaxContainers
)を超える状況で、互いに競合する可能性があります。
この状況では、kubeletはMaxPodPerContainer
を調整して競合に対処します。最悪のシナリオは、MaxPerPodContainer
を1にダウングレードし、最も古いコンテナーを削除することです。
さらに、削除されたPodが所有するコンテナは、MinAge
より古くなると削除されます。
ガベージコレクションの設定
これらのリソースを管理するコントローラーに固有のオプションを設定することにより、リソースのガベージコレクションを調整できます。次のページは、ガベージコレクションを設定する方法を示しています。
次の項目
- Kubernetes オブジェクトの所有権を学びます。
- Kubernetes finalizerを学びます。
- 完了したジョブをクリーンアップするTTL controller(beta)について学びます。
6 - コンテナランタイムインターフェイス(CRI)
CRIは、クラスターコンポーネントを再コンパイルすることなく、kubeletがさまざまなコンテナランタイムを使用できるようにするプラグインインターフェイスです。
kubeletがPodとそのコンテナを起動できるように、クラスター内の各ノードで動作するcontainer runtimeが必要です。
kubeletとContainerRuntime間の通信のメインプロトコルです。
Kubernetes Container Runtime Interface(CRI)は、クラスターコンポーネントkubeletとcontainer runtime間の通信用のメインgRPCプロトコルを定義します。
API
Kubernetes v1.23 [stable]
kubeletは、gRPCを介してコンテナランタイムに接続するときにクライアントとして機能します。ランタイムおよびイメージサービスエンドポイントは、コンテナランタイムで使用可能である必要があります。コンテナランタイムは、--image-service-endpoint
および--container-runtime-endpoint
コマンドラインフラグを使用して、kubelet内で個別に設定できます。
Kubernetes v1.24の場合、kubeletはCRI v1
の使用を優先します。
コンテナランタイムがCRIのv1
をサポートしていない場合、kubeletはサポートされている古いバージョンのネゴシエーションを試みます。
kubelet v1.24はCRI v1alpha2
をネゴシエートすることもできますが、このバージョンは非推奨と見なされます。
kubeletがサポートされているCRIバージョンをネゴシエートできない場合、kubeletはあきらめて、ノードとして登録されません。
アップグレード
Kubernetesをアップグレードする場合、kubeletはコンポーネントの再起動時に最新のCRIバージョンを自動的に選択しようとします。 それが失敗した場合、フォールバックは上記のように行われます。 コンテナランタイムがアップグレードされたためにgRPCリダイヤルが必要な場合は、コンテナランタイムも最初に選択されたバージョンをサポートする必要があります。 そうでない場合、リダイヤルは失敗することが予想されます。これには、kubeletの再起動が必要です。
次の項目
- CRIプロトコル定義の詳細を学ぶ。